呼吸器の予防医学
「軽微な症状」を放置するリスクと早期発見の重要性
自覚症状がない・軽微なうちにすべきこと
肺や気管支は「沈黙の臓器」とも呼ばれ、病気がかなり進行するまで強い症状が出ないことが少なくありません。
「たまに咳が出るだけだから」「少し息切れするが年のせいだろう」と軽微な症状を放置した場合、取り返しのつかない状態まで病状が進行(悪化・慢性化・不可逆的な肺の破壊)してしまうリスクがあります。当院では『予防医学』の観点から、CTや呼吸機能検査を用いた早期発見と、適切な医学的介入による進行抑制に力を入れています。
咳喘息の放置と「気管支喘息への移行」
咳喘息は「咳だけ」が出る病気ですが、その本態は気道の慢性的なアレルギー性炎症です。「そのうち治る」と放置して適切な治療を行わないと、気道の粘膜が硬く厚くなる「リモデリング」という現象が起き、約30〜40%の方が重症の「気管支喘息(ヒューヒュー、ゼーゼーを伴う)」へと移行してしまいます。
※早期から吸入ステロイド薬などで炎症を鎮めることで、喘息への移行を防ぐことができます。
COPD(肺気腫)の放置と「肺野の破壊」
喫煙などが原因で肺の細胞が壊れるCOPDは、初期には「階段でちょっと息が切れる」程度しか症状がありません。しかし、一度壊れた肺胞は二度と元には戻りません(不可逆性)。放置して喫煙を続けると、将来的に常に酸素ボンベが必要な「在宅酸素療法」になり、寿命も大きく縮めてしまいます。
※当院のCTやMostgraph検査で「かくれCOPD」を早期発見し、ただちに禁煙や吸入薬の介入を行うことで、肺機能の急激な低下を食い止めます。
NTM(非結核性抗酸菌症)の放置と「重症化」
中年以降の女性に急増しているNTMは、菌が肺にゆっくりと巣食う病気です。健診で影を指摘されても「自覚症状がないから」と放置していると、数年かけて肺に空洞(穴)ができたり、気管支がボロボロに拡張したりして、血痰や呼吸不全を呈する重症へと進行します。
※症状がなくても、定期的なCTと喀痰検査によるフォローアップが不可欠です。進行の兆しが見えた段階で、当院の高度な加療(吸入・内服)を開始することで将来の肺を守ります。
記事監修
満屋 奨(みつや しょう)
呼吸器内科専門医・内科専門医
大阪医科薬科大学 呼吸器内科・呼吸器腫瘍内科
ラジオロジークリニック扇町 呼吸器専門外来 担当医