検査結果の解説

スパイロメトリー・モストグラフ

スパイロメトリー(呼吸機能検査)

肺から出入りする空気の量やスピードを測定し、肺の広がりやすさや気道の通り具合を調べる検査です。

1. SVC(静的肺活量)関連

SVCサンプル画像
  • VC (肺活量): 空気を胸いっぱいに吸い込み、ゆっくり最後まで吐き出した時の量です。
  • ERV/REV (予備呼気量): 安静時呼気位から、さらに努力して吐き出せる量です。
  • IRV (予備吸気量): 安静時吸気位から、さらに最大まで吸い込める量です。
  • TV (一回換気量): 安静時の通常の呼吸一回分の量です。
  • IC (最大吸気量): 安静時呼気位から最大まで吸い込める量(TV + IRV)です。
💡 %基準値について
年齢・性別・身長などのデータから算出された「同年代・同性・同体格の標準的な健康な人の値(予測値)」を100%としたとき、あなたご自身の測定値が何%にあたるかを示した指標です。80%以上であれば概ね正常範囲と考えられます。

2. FVC(努力性肺活量)および関連指標

気道の通りやすさや、一気に吐き出す力を評価します。

FVCサンプル画像
  • FVC (努力性肺活量): 胸いっぱいに空気を吸い込み、一気に力いっぱい吐き出した量です。
  • FEV1 (一秒量): 最初の1秒間に吐き出せた量です。
  • FEV1/FVC (一秒率): FVCに対するFEV1の割合で、70%以上が正常とされます。
  • FEV1/VC (Gaensler 一秒率): SVCの最大値(VC)に対するFEV1の割合です。
  • PEF (ピークフロー): 息を吐き出す最大のスピード(最大呼気流速)です。
  • V75, V50, V25: 努力性肺活量の75%、50%、25%が肺内に残っている時点での流速。V75は太い気道、V50は中等度、V25は末梢の細い気道の状態を反映します。
  • V25/HT: V25を身長(HT)で割った値で、末梢気道閉塞の指標として用いられます。
  • MMF (中間呼気最大流速): 努力呼気の中間部分(25%〜75%)の平均流速で、末梢気道の狭窄を鋭敏に反映します。

3. 肺活量測定と換気分類図

呼吸機能の全体像を視覚的に分類・評価します。

肺気量分画と換気分類図

肺活量(%VC)を横軸に、一秒率(FEV1/FVC等)を縦軸にとり、呼吸機能を4つのパターンに分類します。

  • 正常: %VCが80%以上、かつ一秒率が70%以上。
  • 拘束性障害: %VCが80%未満。肺が硬く膨らみにくい状態(間質性肺炎など)でみられます。
  • 閉塞性障害: 一秒率が70%未満。気道が狭く、息がスムーズに吐き出せない状態(気管支喘息やCOPDなど)でみられます。
  • 混合性障害: %VCが80%未満、かつ一秒率が70%未満。両方の特徴を併せ持つ状態です。

4. フローボリューム曲線の意味

気道の狭窄状態を波形から読み取ります。

フローボリューム曲線
  • 曲線の形: 縦軸に気流の速度(フロー)、横軸に吐き出した量(ボリューム)を示します。息を吐き出す後半の曲線が下へ凹む(下に凸)ような形になる場合、末梢気道の閉塞(喘息やCOPDなど)が疑われます。
  • 予測波形(点線): 同性・同年代・同体格の健康な人の標準的な波形です。実測波形(実線)が予測波形とどれくらいズレているかを比較し、気道狭窄の程度を視覚的に判断します。

5. 吸入負荷試験による呼吸機能の変化量

気管支拡張薬を吸入する前後で、呼吸機能がどう改善するかを確認します。

吸入前後の一秒量

吸入前後の一秒量の変化

吸入前後のフローボリューム

フローボリューム曲線の変化

  • 一秒量(FEV1)の改善: 気管支拡張薬の吸入後、一秒量が「200mL以上 かつ 12%以上」増加した場合、気道が広がる余地(可逆性)があると判断されます。これは気管支喘息の非常に特徴的な所見です。
  • フローボリューム曲線の変化: 吸入前に下に凹んでいた波形が、吸入後に予測波形(点線)に近づき、ふくらみを取り戻すような変化が見られた場合も、気道の狭窄が改善したことを意味します。

モストグラフ(呼吸抵抗測定)

普通に呼吸をするだけで、気道の「狭さ(抵抗)」と「肺の弾力性」を測定し、3Dのグラフで可視化する最新の検査です。

3Dグラフの色と形の意味、および吸入負荷による変化

モストグラフ結果サンプル

通常の測定結果(3Dグラフ)

吸入前後のRrs

吸入負荷試験前後の比較

モストグラフの結果は、色の変化やグラフの高さで直感的に理解することができます。

  • 青・緑色の部分が多い:
    気道が十分に広がっており、スムーズに呼吸ができている状態です。
  • 黄色・赤色の部分が出ている / グラフが高い:
    グラフが高いほど気道が狭くなっていることを示します。気道が狭くなっていたり、炎症が起きたりして呼吸に抵抗が生じているサインです。咳喘息や気管支喘息などで見られます。
  • 吸入負荷試験による変化:
    気管支拡張薬を吸入した後に、グラフの高さ(Rrs: 気道抵抗)が全体的に低くなり、色が赤・黄色から緑・青などの正常色に近づいた場合、気道の狭窄が薬によって改善したことを示します。これにより、喘息特有の「気道の可逆的な狭まり」を視覚的に捉えることができます。

※検査結果の詳細は、必ず医師が診察室でご説明いたします

数値やグラフが基準値外であっても、それだけで診断がつくわけではありません。
当院では画像診断や問診、他の検査結果とあわせて総合的に判断いたします。